海外で働きたいですか?
どうして、海外で働きたいですか?
新しい環境に身を置いて視野を広げたい!とか、チャンスの多そうな海外でチャレンジしたい!とか、物事を大きくとらえることはとても重要ですが、少し現実的な話をしたいと思いました。
アイキャッチ的な画像もなく、ひたすら語ります。
目次
海外で働く…実際に海外で働いている私が想いを書くから、決断前にちょっと読んで少し考えて!
最初に断っておくと、私は日本の大学を卒業していません。
なので、厳密には日本でいう「大学3年生から準備を初めて、翌々年度4月入社の新卒採用」とは異なるのかもしれませんが、一応大学を卒業してから若干のプラプラ期間はありつつも、欧米系企業で半年以上のインターン含め2社経験し、そして「新卒採用枠」で今の会社の現地採用(本社採用)入社しました。
また、日本とアジア圏の一部の国以外では、「新卒」という概念がちょっと違うかもしれません。
ここでは、日本のいわゆる新卒の方が、海外就職を目指したときに応募できるポジション「Entry Level」という意味合いでも「新卒」という言葉を使っています。
では、前置きはここら辺までにして、実際に海外就職した私が日々感じていることについて書いていきます。
言葉がわからないハンデ
まず、言葉の問題は、海外生活を続けている限り、ずーっとついて回ります。
そして、仕事になると、当然ですがとてもシビアです。
留学経験があってある程度自信がついていても、出世を考えると、言葉のハンデあるぶん、社内でかなり上手に立ち回らないと現地の人との競争に打ち勝つのは難しいと思います。
また、仮に日本でキャリアを10年20年と積んでから海外に出てくると、ある程度の役職に最初からつくことになり、場合によっては通訳さんが専属でついたりしますが、20代の方で海外就職を目指す方が就職しても、状況はそうではないでしょう。
たぶん、普通に現地の方と同じようにペーペーからスタートして、梯子を上っていくことになります。
言葉のハンデを持ちつつ、現地の人と同じように出世競争をしていくのは本当に大変です…。
出世なんて考えないで、海外で数年経験を積めたら良い!と思える人や、できるだけ楽しく過ごせたらいいと思える人は別かもしれませんが、普通は気にしますよね。
言語は評価ポイント稼ぎやすい?
それでも、外国人にとって語学というのは誰にでも認めてもらいやすい努力ポイントだったりもします。
人それぞれ、語学習得スピードにはかなりの開きがあるものの、私事で恐縮ですが、実体験に基づいていえば、語学というもの…人知れず努力すれば、努力の分だけ報われる数少ない分野だと思っています。
言語習得は、少なくとも数学や物理のように、理解できないものをいくら頑張ってもできない!なんて分野ではないハズです。
数学などの学問は、理解の範疇を超えてしまうと、手も足も出ない場合もあると思いますが、これまでの私の人生、日本語を操れない日本人は、特別な理由がない限り出会ったことがありません。
それに、言語習得って時間かかりますよね?
いくら言語に強い人でも、一朝一夕でペラペラになるなんて話は聞いたことがありません。
みんなそれなりにコツコツ少しずつ勉強して上達させていく分野だと思います。
そして、その国の言語の勉強を頑張っている外国人に対して、好印象を抱かない現地の人は、ほぼいません。
日本でも同じですよね?
日本語の勉強を一生懸命する外国人は、無条件でどこか応援してあげたくなったりするのは、私だけでしょうか。
そんなコトバについての話ですが、ちょっと脱線したので、話を元に戻すと、結局言語ができないことからくる絶対的なハンデは、海外で働く…というのには最初から最後までついて回る!との話です。
私の場合、言語ができないことによるハンデについては、もうしょうがないっ!と開き直って、新入社員だった私にとって、現地の人にはない評価ポイントが持てた!ぐらいに思っておいていました。
(前職での実績や経験がない若い社員に限っての場合ですが…。前職の実績や経験がるからこそ雇われている人材は、買われたスキルや「何のために雇われているのか」との問いに対しての応えを存分に発揮する以外に、評価なんてされない。)
とにかく、新卒入社の私が周りの同じような境遇の外国人を見ていても感じることは…、「〇〇語がもっと上手に喋れたら…」なんてタラレバばかりだと、知らぬ間に独り取り残されて、結局自分が損していることが多いです。
そんなタラレバ論垂れている暇があるなら、少しでも勉強するか、あきらめてほかに何か生産的なことをしたほうが賢明です。
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すぐに自国のことを聞かれたり、言われたりする
単純に、日本人であるというだけで、いろいろなジャンルの物事に関して「日本でも同じ?」「日本にもある?」「日本の〇〇はどんな感じ?」というのをいちいち聞かれたりします。
自分の好きなものや、生活に密着しているものだったりすると、私もこたえられる範囲で答えているのですが、例えば日本の下水処理施設は○○を使って●●したりしてるの?とか、私たちの国の天文台の〇〇は、●●だけど、日本だとどうなっているの?なんて聞かれた日には…「ごめん、ちょっとグーグル先生に聞いてみる」と、いったん保留にするしかないです。
日本に興味を持ってくれているのはとてもうれしいですが、たまに質問が難しすぎて(非日常的すぎて)、困っています。
それでも、現地の方にしてみれば、私の存在が日本のことに興味を持つきっかけになってくれているようで、うれしく思うと同時に、何か日本のことについて聞かれたときは、なるべく正確に、誠意をもって答えるようにしています。
政治が絡むと無駄に好かれたり嫌われたりするよ
気にしないのが一番ですが、結構振り回されるのが、この政治関係の話題です。
特に日本と近い存在のアジア圏で普通に現地の人と仕事をしようと思うと、ついて回るのはしょうがないですが、たまにやりきれないです。
そんなときは、気にしないのが一番…わかっていても、なかなか性格によっては難しい人もいるかもしれませんが、ずーっと言われ続けるので、乱暴な言い方ですが、そのうち慣れます。(私は慣れました。)
また、なにか政治の問題なのに、あたかも私たち小市民が全員悪人かのように、心無い言葉を投げかけてくる人々も中にはいますが、ネガティブなことをいう人以上に、(あなたがいい人であれば)ポジティブなことを言ってくれる人も多いハズなので、めげずに頑張るしかないです。
こちらの記事もぜひ参考にしてみてください→韓国で働く日本人OLな私の「会社でのストレス」を最低限に抑えるルール3つ
それぞれの国の「ザ・日本人」像と戦うことになる
「ザ・日本人」とは、現地の人が持つ日本人に対したイメージということですが、各国共通でもっている日本のイメージもあれば、それぞれの国独自の日本のイメージもあります。
例えば、各国共通の「ザ・日本人」像でいうと、
- 日本人は英語が喋れない
- 日本人は静かでおとなしめ
- 日本人は「かわいい」ものが好き
- 日本人は小さい・細い(日本食のイメージが影響)
- 日本人は勤勉
ステレオタイプな日本人像のほかにも、日本に対するイメージもあります。
ちょっと、ねじ曲がった日本像を持っている人は
- ニンジャ!
- サムライ!
- Nintendo!(主にマリオとポケモン)
- オタクカルチャー
- きゃりーぱみゅぱみゅ?ペコ?
年代によっても日本に抱くイメージが変わる場合もありますが、最近よく言われるのはこんな感じです。
ちなみにアメリカでは忍者と侍は不動の1位と2位、入れ替わりはあるものの、忍者と侍以外が1位に来た時があったとしたら、Pokemon Goがリリースされた直後くらいではないでしょうか。
また、英語が喋れない…という日本人のイメージも若干ネガティブですが、それはまだまだかわいいほうで、ガッツリネガティブなものもあります。
- 日本人はうそつき
- 日本人はせこい(チップをあげないなど)
- アジア人は全員野蛮なモンキーな感じ
- そもそも日本を知らない/興味がなさ過ぎて印象すらない
などなど、あげていくとキリがないですが、海外で働いていると、そんなみんなが持つ日本人像と戦っていくことになります。
ことあるごとに「日本人なのに〇〇だね」とか、「やっぱ日本人だ~」などなど。
そんな漠然とした、その人の勝手な印象など、たいていの場合は虚像であったり、テレビの情報や、たまたま知り合った日本人1人がそうであったからにすぎないでしょう。
でも、それぞれの方々が各々日本人に対する印象を持っているのは事実です。
また、あなたの印象が、その人の「日本人とはこんな人」というイメージを形成するのに、とても大きな影響力を与える…ということを常に念頭に置いて行動していれば、自然と悪いこと(とまではいかなくても、良心の呵責を感じるようなこと…)はできなくなるでしょう。
私は今までの海外生活、日本人が周りに少なければ少ないほど、自分が周りの人に与える「日本人像」への影響が強くなってしまうので、どんどん窮屈になってしまった時期もありました。
”日本人”である以前に、”私”は私ですので、そこまでストイックに生きることはしなくてもいいとは思いますが、日常生活の中で、常に”日本人”であることを意識させられています。
身近に肉親(頼れる人)がいない
海外就職の場合、単身で海外に来ているのか、家族で来ているのかによって、この項目は当てはまらない場合もあるかもしれませんが、私は今までずっと単身海外でした。
居住国を変えるたびに、人間関係は1から作り直しで、しかもずっと自分のことを継続的に身近に感じてくれている人がいないので、そこはもうしょうがないとあきらめていますが、たまに少し切なくも思います。
むろん、きっかけから何から何まで自分の意志で海外に出てきたので、今のこの状況を悲観しているわけではないですが、そんなずっと身近でいてくれる存在がいたらいいなぁ…ぐらいの感じです。
最近はインターネットの発達により、そこまで物理的な距離は関係ないのかもしれませんが、場合によっては時差もあったりして、本当に助けが必要なその瞬間に連絡が取れるわけでもないかもしれません。
もちろん、頼れる人は海外生活を続けていくにつれ、その土地その土地で見つけていけばいいのですが、最初は少し大変かもしれません。
身内の不幸…自分は駆けつけることはできない
これは、経済力と居住国と日本との物理的な距離にもよりますが、私の場合、韓国滞在中に祖父が亡くなりました。
朝にその連絡を受け取り、すぐに空港へ向かい、その日の飛行機で日本に向かいました。
お葬式も告別式もすべて参加できたのは、やはり距離的にも近い韓国にいたからだと思います。
私がアメリカやヨーロッパ、ましてやブラジルに滞在中だったら…と考えると、なかなかその日のうちに駆け付けるということは不可能です。
日本を出るときに、それぞれいろいろな想いで出ていくことになると思いますが、私は親孝行や日本の友達との時間を、日本にいたとき以上に大事にするようになりました。
「お国柄」や「国民性」が性に合うかどうかも意外と肝だったりする
私は今いる国が、5か国目(半年ほどのブラジル滞在を入れたら6か国)の居住国ですが、誰かに海外生活どう?と聞かれたら、ドコも大体一緒だったと答えています。
というのも、人間の本質的な部分では大差がなく、私も自分の性格がアメリカに行ったら極端に変わるわけでも、韓国にいる私と日本にいる私に大差があるわけでもないので、どこの国に行っても、同じような生活スタイルで、同じような性格の人たちと仲良くなって、同じようなことして笑っているわけです。
なので、私はどこの国でも同じように最初は苦しかったし、少し生活してみると段々と慣れてきて楽しくなって…という過程を踏んでいると思います。
「どこがよかった?」という質問ならもう少し具体的に答えられますが、「いろいろな国に住んでみてどう?」という漠然とした質問には、ドコも食べ物と気候に多少の差はあっても、たいして生活は変わらなかった…という風になります。
が、「お国柄」というのは、確かに存在していると思います。
それは、先進国じゃなければなおさらです。
※「お国柄」には、文化的なものや、Work Ethicと言われる、仕事への姿勢や取り組み方など、いろいろあると思いますが、ここでは仕事場でのことを主に取り上げています。
これは、最近私が日々感じていることですが、先進国には先進国である理由があって、経済活動に力を入れ、効率とか生産性重視の国になり、だいたい皆似たような感じの生活スタイルになってこそ、先進国と言われるまでに成長できたのではないのか…と思います。
ブラジルや韓国で仕事をしていて思うのですが、どちらもいまいち、「お国柄」として捨てきれない部分などが大きく影響して、効率/生産性最重視になり切れず、第一線の先進国と呼ぶには心もとないのではないか…と思っています。
(ブラジルと韓国を同列に見ているわけではありません。韓国のほうが断然発展しているのは事実ですが…。)
私の印象では先進国での生活程、「お国柄」や「国民性」を感じる場面が希薄な気がします。
そして、先進国であるイギリス、ドイツ、アメリカや日本など、本やインターネットで言われている”いわゆる”英国や、”いわゆる”アメリカ、”いわゆる”ドイツこそあるものの、そこまで目立って仕事に関して差があるとは思えず、先進国の「お国柄」は薄めな印象です。
それでも、仕事や生活に密着した部分に「お国柄」というそれぞれの国の個性が存在する限り、自分が居住していて就労している国のソレ(お国柄)が、ちょっとしたことでも性に合わないと毎日の生活がどんどんつらくなってしまいます。
海外で働く…というのは、一見かっこ良く見えたり、響きとしては良いのかもしれませんが、いろいろと自分の性格や生活スタイルとの兼ね合いもありますので、あとで後悔しないように、自分の働きたい国の「お国柄」(や国民性)について、決断をする前に一考する価値はあると思います。
常識が通用しない
これについては、「お国柄」の項目で述べたことの派生ですが、何か自分が「非常識だな」と思ってしまうような行動をしている人(現地の人)を見たときに、環境が変われば「非常識である」だけでは片づけられない場合もある…ということです。
その土地では、その行為は常識の範囲内だったり、あなたのとっている行動のほうがはるかに非常識だったりするので、そこは住んでいくうちに学ばないといけないところですが、ハナから、自分の持っている常識と違うからと言って「非常識だ」だけで片付けてしまうと、それについて学ぶ機会も失ってしまいます。
今の時代、周りに聞ける人がいなくても、インターネットもあるし本もあるし…情報源はいろいろとあるので、自分で探求する癖がついていないと、ハッピーな海外就労生活は送れないと思います。
(もちろん、インターネットや本よりも、実際に現地の人とたくさん話して学んでいくほうがいいに決まっていますが、なかなか難しい場合もあると思いますが、そんな時は自分でほかの道を探しましょう。)
そんな皆の習慣や行動が積み重なって、それがその国の常識になり「国民性」が形成されていくのかと思いますが、それが肌に合わないと結構ストレスになってしまう人も居るようです。
海外で働くことについてのまとめ
海外で働きたい!外を見てみたい!チャレンジしたい!という気持ちを持っていることはとても素晴らしいことだと思いますが、なかなかその気持ちだけで乗り切るのは難しい場合もあるかと思います。
とりあえず海外に出てきても何とかなる!と信じてやまない人は大丈夫だと思いますし、実際誰でもそれなりに何とかできるものです。
結局、海外は日本と違って「実力主義である」だとか、チームワークではなく「個人重視」だといわれる中、私の知る限り、入った会社の社風や延いては上に立つボス1人によって働く環境やカルチャーが全然変わってくるので、「海外では」と一概には言えないです。
最近…というか継続的に、現地の大学に留学している大学生などから、いろいろと聞かれることが重なったので、少し「海外で働く」ことに対して想っていることをツラツラと綴ってみました。
日米韓行ったりきたりしながら会社員しています。